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民事信託(家族間の信託)のポイント

こちらでは、民事信託のうちの『家族間の信託』のポイントをご案内いたします。

 

『家族間の信託』とは、家族の中で委託者・受託者・受益者を定め、信託契約を結ぶことで、財産を信託目的に従って受託者が活用することをいいます。

遺言・成年後見制度の不都合な点などを補完できる仕組みといえます。当市川 船橋相続・遺言・終活相談センターでは終活サポートの一環として民事信託契約書の文案作成のサポートも行っております。

お気軽にご相談下さい。

民事信託のポイント・活用事例

民事信託のポイント

・信託契約をして妻が信託財産も含めて遺言した場合は、受益権以外の部分は無効。

・アパートの名義を姪の受託者にし、家賃を受益権にし、自分→妻→姪の順にしておく。自分が死亡しても、相続登記は不要。受益者を妻とする信託名簿変更登記をする。

・所得税について、信託した財産からの所得と、他の所得との損益通算ができなくなる。

・不動産取得税は、信託時には受託者にかからない。信託が終了して、元の委託者に戻る場合もかからない。受託者などが相続した場合も通常の相続同様かからない。本人やその相続人以外の者が財産を取得する場合はかかる。

・固定資産税は、受託者に行くので、受益者が支払うように記載しておく。

・収益物件であれば、経費にできる。

・自社株を後継者へ贈与・相続した場合の納税猶予の特例が、信託では使えない。

・信託契約後、抵触する内容の遺言を作成した場合の効力はどちらが有効?

 

民事信託の活用事例

1.「自宅の売却と認知症対策」

認知症の症状が出始めました。このまま認知症の症状が悪くなり、判断能力がなくなると、実家の売却はできなくなる可能性が非常に高くなります。何も対策をしないままですと、成年後見人が必要になります。さらに実家を売却する場合には、自宅を売却することについて家庭裁判所の許可を得なければなりません。

任意後見契約を締結していた場合、認知症の症状が悪くなった場合、任意後見監督人の選任を家庭裁判所に申立をし、任意後見監督人が選任されると任意後見人が始まります。任意後見人が実家を売却する場合は、任意後見契約にその代理権が記載されていないとできません。記載されていた場合でも、任意後見監督人の同意を得なければできません。

家族間の信託をしておけば、家庭裁判所の許可など不要で、自宅の売却手続きをすることができます。

 

2.「子供がいない夫婦で、相手方の親族に財産を行かせたくない場合・二次相続の指定」

『先祖代々の土地なので、私が死亡したら妻に相続させ、妻が死亡したら、私の弟(もしくは甥姪)に相続させたい』、つまり、妻側には相続させたくない場合です。このような内容の遺言をした場合、妻に相続させることはできますが、妻が死亡したら弟(もしくは甥姪)に相続させるということはできません。遺言では、自分の次の代までしか指定できません。

 

3-1「認知症対策と生前贈与対策」

Aさん名義の土地の1つに、甥名義の建物があります。Aさんは自分が死んだら、この土地は甥にあげたいと思っています。しかし、Aさんには妻と子がいるので、甥は相続人になりません。そこで、Aさんが甥にこの土地をあげたいとの希望をかなえるためには、①生前に、贈与する。②甥に遺贈させる旨の遺言をする。③民事信託をする。との方法が考えられます。

ところが、①、②にはそれぞれ次のような問題点があります。まず、①生前に贈与する場合、贈与税の高い税率の問題が生じます。例えば、評価が1000万円の土地の場合、約200万円もの贈与税を甥は支払わなくてはなりません。次に、②甥に遺贈させる旨の遺言をする場合、Aさんが死亡する前に、認知症などになり判断能力がなくなってしまったときに、手続き上の問題が生じます。例えば、認知症になり判断能力がなくなってしまうと、家庭裁判所に後見人選任申立をし、後見人がAさんの代わりに手続きをしないと、この土地に担保を設定したり、売却をすることができなくなってしまいます。これに対し、③民事信託をする場合、Aさんを委託者、甥を受託者、Aさんを当初受益者、Aさん死亡時に甥に移転するとすることで、①については、贈与税ではなく、相続税の対象になる。甥に信託設定時に固定資産税がかかり、Aさん死亡時に不動産取得税がかかることになりますが、贈与税ほど高い負担にはならないことが多いです。②については、認知症になって判断能力がなくなっても、この土地の担保設定や売却は成年後見人を家庭裁判所に選任してもらわなくても、甥が単独ですることができます。なお、遺留分と妻の後見問題には気をつけましょう。

 

遺留分と妻の後見問題

・妻の成年後見人は、夫が全財産を遺言、遺贈贈与した場合には、後見人の義務として遺留分減殺請求をしなければなりません。ですので、遺言をする場合は、認知症などになる人がいるときはよく考えておきましょう。

・後見が開始すると家族のためにお金を使うことはできなくなる

後見が開始すると、被後見人の財産は本人である被後見人自身のために使うことしかできません。なぜなら本人に家族のために使う意思があることが判断できないからです。そのため、本人が住む自宅をバリアフリーにするためや、施設に入所するために本人のお金を使うことは認められますが、毎年行っていた家族旅行に行くために、後見が開始する前から、本人がみんなの分を出していたからといって、本人のお金から払うことができなくなります。また、配偶者も認知症になり施設に入ることになった場合、その配偶者の施設入所のためには使うことは認められません。本人のためにしか使えないお金になってしまうのです。

 

3-2「認知症対策と教育資金贈与」

Aさん(70才)は、Aさんの孫のCさん(現在小学生)が私立高校や大学に入学するときの入学金・授業料などのためにお金を出してあげたいと思っています。ただ、Aさんは認知症にならないか心配です。認知症になってしまうと、Cさんのためにお金を銀行から降ろせなくなってしまうからです。また、認知症になり、後見が開始されると、自分以外のCさんのためにお金を使うことはできなくなってしまうからです。そこで、Aさんが孫のCさんにお金をあげたいとの希望をかなえるためには、①生前に、贈与する。②教育資金贈与の制度を利用する。③民事信託をする。との方法が考えられます。

①生前に贈与する場合、高い贈与税を支払わなければなりません。

②教育資金贈与を利用すると、贈与税を免れることができます。しかし、この制度は、延長されない限り、平成31年3月までの期限付きの制度です。また、使い切れずにCさんが30才になってしまうと、使わなかった部分に関しては、贈与税がかかってしまいます。さらに、仮にAさんが長女Bさんの将来生まれてくるかもしれない第2子に対して同じように学費を支払ってあげたいと考えていても、生まれてくる前にはこの制度は使えません。

③任意後見を利用する場合、任意後見契約の代理行為目録にCさんへの学費の支払を入れておくことで、Aさんが認知症になってしまってもCさんのために使うことができます。しかし、任意後見が開始すると任意後見監督人への報酬が生じます。また、Cさんが大学に入学する前にAさんが死亡してしまうと、任意後見は終了してしまい、相続人にAさんの財産は行ってしまうのでCさんのために使うことはできなくなってしまうので、任意後見契約に加えて遺言書にCさんに遺贈する旨を記載しておかなければなりませんが、いくら必要になるのかわからないので、記載方法が難しくなります。

 

このように、①②③には不都合が生じます。そこで、

民事信託を利用します。委託者がAさん、Aさんの長女Bさんが受託者、Cさんが受益者となります。

 

3-3「障害のある子供がいる場合、親の認知症対策、相続問題」

Aさん夫婦は、子供が1人いますが、知的障害があります。現在は、Aさんが面倒を看ています。子供のために貯金をし、アパート経営もし、家賃収入もあります。ここでAさんは、①将来、自分が認知症になり判断能力がなくなってしまった場合どうすればよいのか?②自分が死亡した場合、知的障害がある子供をどのように面倒を看てもらえばよいのか?不安になっています。

Aさんが認知症になり判断能力がなくなってしまうと、アパートの契約・家賃の催促などの法律行為をするためには、成年後見人を選任し、その成年後見人に代わりにしてもらわなければなりません。しかし、この成年後見人は、基本的に本人のためにお金を使うことが原則ですので、今までしてきたように、お子さんに十分なお金を工面できなくなるおそれがあります。

Aさんが死亡した場合、Aさんの配偶者とお子さんが相続人となります。そうするとこの2人で遺産分割協議をし、相続財産を分配しなければなりません。実質上は、お子さんがアパートや貯金を相続しても、動かすことはできないでしょうから配偶者が全ての財産を相続しお子さんを面倒みていきたいと考えるでしょう。しかし、知的障害のあるお子さんというのは、程度にもよりますが判断能力がないのであれば、遺産分割協議自体をすることができません。したがって、配偶者が全て相続するということもできなくなってしまいます。仮に、お子さんに成年後見人を選任してもらい、成年後見人が配偶者と遺産分割協議をすることもできますが、その場合でも、成年後見人は本人であるお子さんの法定相続分を確保することを要求するでしょうから、結局、配偶者が全て相続する内容の遺産分割協議をすることは難しくなります。そうすると、法定相続分である2分1ずつ相続することになってしまいます。これでは、配偶者の希望を叶うことはできません。

この問題を解決する方法として、AさんがAさんの配偶者に全て相続させる旨の公正証書遺言(なぜ、自筆証書遺言ではだめで、公正証書遺言でなければならないかは、こちら)をしておく方法があります。ひとまずは、遺言の方法をしておけば、上記問題は解決できそうです。

しかし、Aさんの配偶者も既に高齢になってきているでしょう。Aさんの配偶者もいつ認知症になり判断能力がなくなるかわかりません。また、Aさんの配偶者もいつお亡くなりになってしまうかわかりません。とすると、Aさん夫婦よりも若い世代にAさんのお子さんの面倒を看てもらうように頼みたいと考えるのではないでしょうか。その辺りまでケアしようと思うと、Aさんが遺言を作るだけでは不完全です。Aさんの配偶者がAさんが亡くなり相続した後、遺言書を作れば可能ですが、いつ認知症になり判断能力がなくなり遺言書自体を作れなくなってしまうかわかりません。Aさん夫婦のお二人が今現在、元気なうちに民事信託をすることで、上記問題点を回避することができるでしょう。

民事信託を利用し、Aさんが元気なうちは、Aさんがお子さんの面倒を今まで通り看ます。Aさんが認知症になり判断能力がなくなった場合は、Aさんの配偶者、Aさんに配偶者が認知症になり判断能力がなくなった場合は、甥姪などにお願いをする内容にすることができます。さらに、最終的に、Aさんのお子さんが亡くなったあと、残っていた財産の帰属先として、Aさんのお子さんを最期看てくれた甥姪に渡すことまで、今現在決めておくことができるのです。

 

・両親が認知症になり判断能力がなくなってしまった場合、今までのように障害のある子供のためにお金を使えなくなってしまうのではないか。

・両親の内一方が死亡した場合、障害がある子供とは遺産分割協議ができないので法定相続分の相続になってしまうのではないか。

・両親の内一方が死亡した場合、障害がある子供に成年後見人を選任してもらい成年後見人と遺産分割協議をしたとしても、結局、法定相続分の相続になってしまうのではないか。

・両親の死後、どのように面倒みてもらえばよいのか。

・両親の死後、さらに子供の死後、財産の帰属先はどうなるのか。

 

3-4「相続対策、浪費者がいる場合」

AさんBさん夫婦には、長男Cさん、長女Dさんがいましたが、Dさんは、3年前に亡くなってしまいました。AさんはDさんの子Eさん(Aさんの孫、3歳)にも、学費などのために財産を相続させてあげたいと考えています。ところが、亡Dさんの夫Xさんは浪費家だったのです。Dさんが事故で亡なった原因もXさんの浪費癖で働かなければならず心労・過労でたたってのことでした。ですので、この先Eさんが成人する前に、AさんBさん夫婦が亡くなってしまうと、Eさんも代襲相続人として財産を相続することになりますが、未成年者のお金の管理は、事実上、親権者である親がすることになりますので、Eさんの場合、Xさんが管理することになります。そうすると、せっかく相続した大切な財産も浪費されてしまう可能性が非常に高いです。

この場合、①教育資金贈与の制度を活用することも考えられますが、前述のような不具合や、確実にEさんのために使わない可能性も残ります。そこで、②民事信託を活用し、長男Cさんを受託者とし、受益者をEさんとすることで、長男Cさんの管理の下、Eさんにとって必要に応じ、支払などをすることができ、浪費家のXさんに直接大金が行くことを防ぐことができます。また、生命保険と信託を組み合わせた商品が、保険会社から始まってきています。こちらの方の活用もできる場合があります。この方法は、死亡保険金を保険会社に信託する形で保険を組む契約になっています。被保険者が死亡後は、受取人(Eさんと指定)に定期的に毎月いくら交付するなどと定めておくことはできますが、親権者であるXが実際には管理することに変わりはありません。ですので、確実にお金がEさんのために使われることまでを管理したいのであれば、やはり、受託者を指定する民事信託の方法がよいのではないでしょうか。

 

・教育資金贈与の制度の不具合

・生命保険信託の活用

・民事信託の活用

 

3-5「認知症対策、お一人様対策」

Aさんは(75歳)は、結婚もせず子供もいません。これまで独身を貫いてきました。最近、病気がちになり、足腰も弱くなり、判断能力も低下して認知症になるかおしれないなどと不安が多くなってきました。そこで、近くに住む姪に、病院への付き添いや、買い物への付き添いなどの身の回りの世話をお願いするようになってきました。そこで、自分が認知症になり判断能力がなくなってしまうと、施設への入所契約を自分ですることはできなくなり、また、銀行でもお金を降ろせなくなってしまい生活に困るのではないか不安になってきています。さらに、お世話になっている姪に、自分が死んだあとは財産を渡したいと思っています。このように、お一人様の将来の不安への対策は、①認知症への対策、②死亡後の対策が必要です。

①認知症になり判断能力がなくなってしまうと、成年後見人を選任し、その成年後見人に代わりに施設入所の契約や、介護契約、銀行などの手続きをしてもらわなければなりません。この場合、後見人の申立をし、誰が後見人となるかは、家庭裁判所が判断します。普段面倒を看てくれている姪になる場合もあれば、別の人になる場合もあります。

別の人が後見人になるのを避け、姪に後見人になってほしいのであれば、認知症になってしまう元気なうちに、姪と、任意後見契約を締結しておく必要があります。こうしておけば、もし認知症になり判断能力がなくなってしまったときに、姪がAさんの後見人となり、代わりに法的手続きを行うことができます。ただし、任意後見人には成年後見にある「取消権」と言う権限がありません。「取消権」とは、成年被後見人であるAさんが後見人が選任され、判断能力がないにもかかわらず、悪質業者などに契約をさせられた場合、この契約を一方的に取り消すことができる権限です。かなり強力な権限であるため、家庭裁判所によって選任された後見人には認められていますが、任意後見人にはこのような権限がありません。ですので、認知症になり判断能力がなくなってしまったあとも施設に入らずに生活していくつもりであるならば、任意後見契約では注意が必要です。

②死後への対策として、Aさんが亡くなったあとは、Aさんに子供がおらず、両親も既になくなっている場合は、兄弟姉妹が相続人になります。今まで面倒を看てくれた姪は、相続人にはなりません。そこで、最低限、遺言をしておかないと、一銭も姪の手には渡りません。

そこで、①認知症への対策、②死亡後の対策を同時にする方法として民事信託の活用が考えられます。

 

・お一人様の将来の不安への対策は、認知症への対策必要

・お一人様の将来の不安への対策は、死亡後の対策が必要

 

3-6「会社の経営の承継対策」

社長であり1人株主のAさん(70歳)が、認知症、脳卒中で倒れ判断能力がなくなると、新社長を選ぶための株主総会を開くことができなくなっていまい、経営が停滞してしまうおそれが生じます。

遺言では、後継者選定が間違っていなかったか確認することができません。生前に後継者選定が間違っていたと思ったのであれば、遺言書を書き直さなければなりません。また生前の贈与では、贈与の心配が、生前の売買では、後継者のBさんに資金が工面できるかなどの問題が生じます。

ここで、株式を保有しているということが会社の経営権を把握しているということになります。そこで、株式を後継者であるBさんに信託する方法が考えられます。そうすることで、経営権がBさんへ移りますので、Aさんが認知症、脳卒中で倒れ判断能力がなくなったとしても、経営は停滞しません。なお、信託契約のさらに優れた点は、一度に全て経営権を渡すという方法の他に、一分経営権を前株主に留保した状態も作ることができるのです。すなわち、必要に応じて、Aさんに議決権行使の指図権を留保しておくこともできます。指図権を留保しておけば、後継者の適性を判断することができます。さらに、株式の配当を受ける権利なども受益権としてAさんに留保することもできます。そうすれば、贈与税が課されないことになります。

その後、Aさんが亡くなると、受益権が相続されます。信託契約で受益権の行き先を残された配偶者にすると指定しておくことも可能です。また、配偶者の次は誰々と、2次、3次の受益権の行き先を指定することも可能です。受益権が後継者のBさんに渡れば、信託が終了します。

 

3-7「遺留分対策①株式の準共有」

社長であり1人株主のAさんは、子供が3人います。長男が会社と手伝っていますが、次男Bと長女Cは関与していません。Aさんには会社の株しかめぼしい財産がありません。もしAさんが死亡した場合、相続関係はどうなってしまうのでしょうか。子供達三人で、長男が全て相続する旨の遺産分割協議が成立すれば問題は生じません。しかし、次男、長女が自分の相続分を主張した場合、法定相続分とおり分配しなければならなくなります。会社の株式を3分の1ずつ相続することになり、これでは、会社の経営が不安定になってしまいます。これを回避するために、長男に全て会社の株式を相続させる遺言をAさんは作成することが考えられます。しかし、次男・長女には「遺留分」があります。この場合ですと、8分の1ずつです。会社の株式しかめぼしい財産がない場合、長男は遺留分減殺請求をされると、8分の1相当の現金をそれぞれに支払えず、会社の株式を渡すしかなくなってしまいます。結果、準共有になってしまいます。

そこで、長男に株式を信託し、遺留分程度の受益権を次男、長女に渡す信託契約を締結しておくことが考えられます。相続後は、配当を少しずつして、長男が次男・長女から株式を買い取ることが考えられます。

 

3-8「遺留分対策②不動産の共有」

めぼしい財産が土地・建物などの不動産のみの場合、相続が開始すると問題が生じます。不動産が共有状態になってしまいます。不動産の共有状態は、売却・賃貸などの際、全員の了解が必要になります。仲がよいうちはよいのですが、少しでも意見が食い違うと全く先に進まなくなってしまいます。ですので、できるだけ共有状態になるのを防ぐ必要があります。共有状態になるのを防ぐために、面倒を看てくれた長男に相続させる旨の遺言をする当いう方法があります。しかし、次男には遺留分がありますので、次男が遺留分減殺請求行使すると、4分の1の遺留分相当額を現金で支払わなければなりません。長男に手持ちの現金がない場合、結局不動産の持分を渡すしかなく、共有状態になってしまいます。

そこで、信託契約を長男と締結しておき、遺留分相当の受益権を次男に渡るように定めておくことが考えられます。このようにすることで共有状態になるのを防止することができます。

 

実際の民事信託の流れ(民事信託契約締結から終了まで)

事例1.収益不動産(アパート)を信託する場合

・人物関係:所有者父Aさん、妻Bさん、長男Cさん、長女Dさん

・希望:

・認知症対策・相続対策として、アパートの管理を長男Cさんに頼みたい。

・Aさんが元気なうちは、Aさんが賃料収入を得たい。

・Aさんが認知症になった場合もAさんが賃料収入を得たい。

・Aさんの死亡後は、妻Bさんの生活費のため賃料収入を渡したい。

・Aさん、Bさんの死亡後は、アパートの所有権・賃料収入を長男Cさんに渡したい。

・Aさんの死亡後は、遺留分対策として長女Dさんには、銀行預金を渡したい。

・長男Cに万が一の時は、長女Dさんが長男Cさんの代わりにアパートの管理をし、信託契約終了の際には、アパートの所有権を取得させたい。

1.民事信託契約書・遺言書の作成

・Aさんのご家族全員で、Aさんが認知症になりアパート経営が凍結してしまわないようにしたいこと、Aさん死亡後も妻Bさんの生活を家賃収入で確保したいこと。今のうちからアパートの管理を長男Cさんに任せ、Aさんが認知症になったり、Aさん、Bさん死亡後には、アパートの所有権も渡したいと考えていること。長女のDさんにも不公平のないように、財産を渡そうと考えていることなどを話し合いました。全員の了承が得られたので、正式に民事信託契約書・遺言書を作成することになりました。

・Aさんの上記の希望に基づいて、民事信託契約書を作成します。Aさんの死亡時に長女Dさんに預金の一分を渡すという、民事信託契約書でカバーできない部分関しては、遺言書を作成します。

・作成した民事信託契約書に、委託者Aさん、受託者長男Cさんが署名捺印します(Bさん、Dさんの署名捺印は不要です。)。

・必要に応じて、信託契約書を公正証書で作成します。公正証書で作成しない場合は、信託契約書に200円分の収入印紙を貼り、公証役場で私文書の認証を受けましょう。

2.民事信託契約による諸手続

・信託契約書の記載に従い、委託者であるAさんと、受託者であるCさんとで

司法書士に依頼して、不動産登記を申請します。必要書類は、不動産の権利証(登記済証もしくは登記識別情報)、Aさんの印鑑証明書、Cさんの住民票、登記原因証明情報、信託契約書、固定資産評価証明書などです。

・信託契約書の記載に従い、金融機関に信託口の口座を開設します。賃料の振込先とするためです。Cさん個人の口座とは分けて管理します。

・アパートの管理会社や賃借人に、賃料の振込先と賃貸人がCさんに変わった旨の通知をします。

・アパートの火災保険の名義をCさんに書き換えます。

・不動産取得税に関する通知が県から来ます。県に信託契約書のコピーを提出すると、不動産取得税は課税されません。

・固定資産税の納税通知がCさん宛に送付されます。信託契約書に記載のとおり、Aさんが支払いましょう。

3.民事信託契約に基づく実行

・アパートの管理をCさんが行います。具体的には、新たな賃借人との賃貸借契約の締結、更新の手続き、不動産屋に仲介を依頼する場合は不動産屋との契約、各種修繕が必要になった場合の手配、業者との契約、未払い賃料の回収などです。

・アパートの収益に関する決算書を作成します。

・毎年131日までに税務署に信託に関する計算書を提出します。

4.関係者の死亡などの際の手続き

(1)Aさんが死亡した場合

・Aさんが死亡した場合は、賃料収入は妻Bさんへ変わります。妻Bさんへ変わる旨の不動産登記の申請、金融機関への振込口座の変更の手続をします。税務署に、受益者がAさんからBさんに変わった旨について、「信託に変わる受益者別調書」、「信託に関する受益者別調書合計表」を提出します。

・遺言に基づき、長女Dさんに預貯金の相続手続きをします。

・妻Bさん、長女Dさんは必要があれば相続税の申告をします。

(2)Aさんが死亡し、Bさんが死亡した場合

・Aさんが死亡し、Bさんが死亡した場合には、信託契約書に従い、信託が終了します。清算手続が必要となります。未回収の賃料があれば回収し、未払いの支払があれば支払を行います。その後、信託契約書に従い、長男のCさんにアパートの所有権などを帰属させる手続きを行います。不動産登記を申請し、金融機関の口座も変更し、税務署に、受益者がAさんからBさんに変わった旨について、「信託に変わる受益者別調書」、「信託に関する受益者別調書合計表」を提出します。

・相続税の申告の必要があれば、申告をします。

・不動産取得税はAさんの相続人ですので、かかりません。

(3)長男Cさんが死亡した場合

・もし受託者であるCさんが死亡・事故・病気により判断能力を喪失するとアパートの管理ができなくなってしまいます。すると、信託契約書に2次的受託者として長女Dさんを指定しておきましたので、受託者はDさんに変わります。Dさんに変わった旨の不動産登記、金融機関への変更の届出、不動産業者・賃借人への通知などを行います。

 

事例2.会社の株式を信託する(事業承継)場合

・人物関係:会社社長兼株主父Aさん(70歳)、妻Bさん、長男Cさん、次男Dさん、長女Eさん

・希望:Aさんは最近物忘れが出始めたので、認知症になり判断能力がなくなってしまう前に、会社を長男に継がせたい。

・現状では、まだ全てを任せるのは不安なので、対外的には社長にし、大事な場面では、指揮権を持ちたい。

1.民事信託契約書・遺言書の作成

・Aさんのご家族全員で、Aさんが認知症になり会社経営が立ちゆかなくなってしまわないようにしたいこと、今のうちから会社の経営を長男Cさんに任せ、しばらくは、アドバイスできるように指図権をAさんに残しておくこと。もし、長男のBさんが社長として不適任なら、信託契約を解除できるようにしておくことなどを話し合いました。全員の了承が得られたので、正式に民事信託契約書・遺言書を作成することになりました。

・Aさんの上記の希望に基づいて、民事信託契約書を作成します。

・作成した民事信託契約書に、委託者Aさん、受託者長男Cさんが署名捺印します(Bさん、Dさん、Eさんの署名捺印は不要です。)。

・必要に応じて、信託契約書を公正証書で作成します。公正証書で作成しない場合は、信託契約書に200円分の収入印紙を貼り、公証役場で私文書の認証を受けましょう。

2.民事信託契約による諸手続

・Aさんの会社の株式の信託について、株主総会の承認が必要なので、株主総会議事録を作成します。

3.民事信託契約に基づく実行

・受託者の長男Cさんが株式の信託を受け、社長として活動します。議決権についてはAさんに指図権が留保されているので、適宜Aさんのアドバイスに従って会社を運営していきます。対外的には世代交代がうまくできたと映るでしょう。

4.関係者の死亡などの際の手続き

(1)長男Cさんが不適任だったとき

・長男Cさんが不適任だったとき、病気・事故などで仕事ができなくなってしまったときは、Aさん1人の判断で、信託契約を解除することができます。信託契約を解除することで、株式が全て戻ってきます。会社の経営権はAさんのもとへ戻ってきます。ただし受益権がAさんにあることが条件です。手続きとしては、会社の株式の移動についての承認決議が必要です。

(2)Aさんが、認知症になり判断能力がなくなってしまった場合

・Aさんが、認知症になり判断能力がなくなってしまっても、会社の経営自体は、長男Cさんが継続いて行うので安心です。Aさんの指図権の行使のみができなくなるだけです。

(3)Aさんが死亡した場合

・Aさんが死亡した場合は、長男Cさんが受益権、指図権を相続し、実質的に会社の経営権を全て取得することになります。

・長男のCさんは、受益権の価額に応じて、相続税の申告をします。

・税務署に、受益者がAさんからBさんに変わった旨について、「信託に変わる受益者別調書」、「信託に関する受益者別調書合計表」を提出します。

 

 

民事信託のQ&A

・信託契約をして妻が信託財産も含めて遺言した場合は、受益権以外の部分は無効となりますか?

無効となります。

 

・信託契約後、抵触する内容の遺言を作成した場合の効力はどちらが有効ですか?

信託契約が有効となります。遺言作成の時点で既に、委託者の手元に財産はないからです。

 

・遺言作成後、抵触する内容の信託契約をした場合どちらが有効ですか?

信託が有効となります。信託をすると自分の財産ではなくなるからです。

 

・民事信託のデメリットは何ですか?

所得税の損益通算ができなくなることです。収益不動産をもっている方で、他に事業を行っていた方が、収益不動産を信託をした場合などです。

 

・民事信託と投資信託(商事信託)の違いはなんですか?

民事信託は家族間などでそれぞれ(認知症対策、相続対策、障害者の子の生活確保・残された妻の生活の確保)などの目的を達成するために財産を託すことをいいます。これに対して、投資信託は、銀行や証券会社などに、利益を上げて配当を得ることを目的として財産を託すことをいいます。このように、託すための目的が違います。

さらに、信託銀行や証券会社などが業(商売)として行う信託を商事信託といいます。投資信託も商事信託の1つです。これに対し、家族間など信託銀行や証券会社などと異なり、業(商売)として行わない信託を民事信託といいます。

 

・信託できる財産は何がありますか?

現金・不動産、会社の株など財産的なものなら信託できます。

 

・受託者は弁護士や司法書士や行政書士に頼めますか?

原則として信託業法に抵触するのでできません。

 

・受託者に報酬を支払うことはできますか?

信託契約書で定めればできます。

 

・受託者が認知症や死亡した場合はどうなりますか?

2次、3次の受託者を定めておくことで、信託契約が終了するのを防止できます。定めておかなかった場合は、委託者と受益者で決めることができます。委託者がいない場合は、受益者が単独で決めます。

 

・受託者が破産してしまったら財産はどうなりますか?

信託した財産は、受託者の財産とは分離されて管理されていますので、破産しても取られてしまうことはありません。また、受託者の債権者が差し押さえることもできません。

 

・委託者が破産したら財産はどうなりますか?

受託者が管理しているので、影響はありません。もっとも信託行為自体に詐害性がある場合は影響があります。

 

・受益者が破産したら財産はどうなりますか?

受益者が破産した場合は、受益権が換価できる場合は換価され配当に回ります。受益権の債権者は、受益権を差し押さえることは可能です。

 

民事信託と遺言のどちらを作成するのがようですか?

民事信託と遺言はそれぞれの長所がありますので、双方のよい部分を活用するとよいと思います。同時に作成することが多いです。

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無料訪問相談を実施しています。

相続・遺言・終活の相談は、相談員がご自宅へ訪問し、じっくりとお話をうかがいます。
  • メリット1 ご相談の際に、戸籍謄本、不動産の権利証、預金通帳などを確認させていただく必要があります。このような大切な書類を家から持ち出すと、紛失・盗難などに遭う危険性があります。私どもの相談員がご自宅で書類を確認させて頂きますので、紛失・盗難などの危険性を避けることができます。
  • メリット2 事務所へ相談にご来所いただいたお客様の多くが、緊張しておられました。そのため、お客様のご自宅やご指定の場所でリラックスしてお話をして頂けるよう、私どもが訪問するという形でご相談をお受けしております。
  • メリット3 ご自宅に訪問という形を取ることで、その場で必要書類を確認させて頂くことができます。ご来所頂いた場合と異なり、確認のための書類を再度持参して頂いたり、書類を郵送してもらうという手間を省くことができます。お客様の煩わしさの解消になっております。
  • メリット4 ご自宅やご指定の病院・施設等への出張費は無料です(市川市、船橋市内に限ります)。

相続手続・遺言書作成・終活に強い司法書士・行政書士が対応します。

相続手続・遺言書作成・終活を得意とする司法書士・行政書士直接対応いたします。
  • メリット1 「士業」といわれる専門家といってもその全ての業務に精通することは困難です。お医者さんに、内科医・外科医など得意分野があるように、士業にも得意分野などがあります。私ども市川・船橋 相続・遺言・終活相談センターの相談員は、相続手続・遺言書作成・終活を得意としています。
  • メリット2 スタッフは全員、司法書士・行政書士など国家資格をもった専門家です。
  • メリット3 お客様とのやりとりは全て司法書士・行政書士など国家資格を持った専門家が直接ご対応いたします。専門家は守秘義務が課せられているのでご安心下さい。国家資格を持っていない事務員(補助者等)が応対することはありません。

市川市・船橋市を中心にサポート業務を行っています。

地域密着として市川市・船橋市のお客様からご依頼をいただいております。
  • メリット1 市川・西船橋・船橋・原木中山・下総中山・本八幡・妙典・行徳・南行徳といった、地元の市川市・船橋市をメインに業務を行っています。
  • メリット2 戸籍収集や各種書類の取り寄せは全国の市役所対応です!
  • メリット3 地元市川市・船橋市の金融機関のみならず、全国の金融機関の相続手続が対応可能です!

安心・明瞭・低価格な料金設定。

各手続きサポートに「基本プラン」を設定しております。
  • メリット1 各サポートごとによくある一般的な事案に関しての報酬を「基本のプラン」として設定しております。
  • メリット2 各サポートごとにおおよその目安となる報酬の例をご案内しています。
  • メリット3 全国の役所からの書類取寄せ業務・金融機関の名義書換手続業務につき遠方の割り増しなど一切ありません。
  • メリット4 面談の訪問の出張費費は一切頂いていません。相続・遺言・終活の相談は無料です。訪問時の出張費も無料です。
  • メリット5 無料電話相談も行ってます。お気軽にお電話ください。→無料電話相談の日時など詳しくは、こちらをクリック。

お気軽にお問合せください。

お電話での無料訪問相談のご予約はこちら

047-370-7309

受付時間:9:00〜18:00
事前にお電話頂ければ上記時間外も対応いたします
(事前にお電話頂ければ土日祝も対応いたします)

市川・船橋 相続・遺言・終活
相談センターのご案内

047-370-7309
住所

〒272-0014
千葉県市川市田尻四丁目3番2号

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お知らせ

司法書士による相続・遺言・終活に関する無料電話相談のご案内!
無料の電話相談の電話番号
047-370-7309

内容:相続手続・相続放棄・遺言書検認・遺言書作成・終活。
目安:お一人様20分程度。
対象:市川市・船橋市の方。

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